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為替勝力 フィリップFXブログ

「安全資産」がもう安全ではない

 チュニジアとエジプトでの反体制デモが成功を収め、独裁政権を崩壊させた。両国に隣接しているリビアが飛び火され、15日から16日にかけデモが起きた。地元の新聞紙によると、衝突で警官10人を含む14人が負傷した。反政府活動がまったく収まる様子がなく、中東の混乱は引き続きリスク回避を支援する。一方、エジプト政府が管理しているスエズ運河を通過しようとした2隻のイラン軍艦が17日計画を断念し引き揚げたが、地政学リスクを高めたのは確かだ。
 周知の通り、リスク回避が進むと安全資産が買われやすく、避難通貨と言われる円とドルの上昇が目立ってくるが、近頃いくらリスク回避を煽りそうな材料があっても、リスク回避が沈静で、円とドルが上昇のところか、むしろ弱み含む展開となっている。
 円が人気を失う要因は、円キャリー再開への懸念が強まることだと考えられる。日本で金融緩和が続き、デフレの状況が変わらないところ、ユーロ圏や新興国でインフレリスクが高まる一方だ。また米経済指標の快調及び経済見通しの上方修正に対して日本昨年第4四半期GDPがマイナス成長に転落した。景気を支援するには金融緩和は日本にとって心強い存在だ。そして低金利が長期に維持する円の魅力が他国の中銀による利上げに伴いどんどん低下していく。そこで円キャリートレードを喚起し、投資者らが資金を収益性の高い資産に投入する動きが段々強まる。
 一方ドルを抑える要因は、量的緩和の不透明性と財政赤字の拡大だと言われる。最近米経済に対する楽観的な見通しは国債利回りの上昇を支え、ドル資産の魅力を高めたものの、QE2の見直しは結局無さそうでドル買いは相変わらずリスクを感じる。そのリスクとは、追加緩和のためにFRBがドル札を大量に発行しドルの価値を下げることだ。
 財政赤字の拡大について、今年10月1日から来年9月までの2012年度財政予算では、連邦政府の歳出は3.73兆ドルとなり、2011年度の財政赤字は1.65兆ドルと過去最大に達する予想で、4年連続で1兆ドル超の見通しだ。最近世界各国の外貨準備に占めるドルの割合が低下していることから、ドルが基軸通貨としての信認が揺らぎ始めているのが分かる。連邦政府が財政赤字の削減に努力しなければ、ドルが信用を失い、基軸通貨見直しを迎えるのは時間の問題だ。

2011.2.18日 12:00更新

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