為替勝力 フィリップFXブログ
隙のないドル
世界経済が回復の軌道に乗せているものの、各国政府の財政赤字が深刻する一方だ。この正反対の材料が揉み合い中、為替市場もブレながら方向乏しい展開となっている。
元々避難通貨として運用されるドルは、リセッションが懸念されたら買われるが、最近経済成長との連動性を表した。株、商品、新興国市場に投資する時、つまりリスク選好が前進した時も買われた。
過去10年間の市場のドル相場を見れば、今のドルが新たな「進化」を遂げたことが分かる。2000年ネットバブルが崩壊した後、ドルが一度リスク回避のために買われたが、それから金融市場の好転によりドルも段々人気を失った。そして米株式市場が2003年~2008年ブルマーケットに入り、このリスク選好の絶好調でドルが急落し、ユーロドル相場が史上最高値の1.60に付けた。ところが、リーマンブラザーズが破綻してから、投資者がリスクを回避するために米国債を買うしかなく、ドルも元気を取り戻した。そして今ユーロ圏の信用格付け問題で、避難通貨のドルが堅調に推移している。
但し昔と違うのは、今のドルが、商品価格、株価が上がっても下がらない。原油価格が1バレル=85ドルを越えても、S&P指数がリーマンショックの前の水準に戻ったとしてもドルは堅調のまま、まるでドル高を邪魔するものが消えているようだ。
その原因の一つは、FOMC政策金利の利上げ観測。資源国や新興国などに遅れるとはいえ、ユーロ圏と日本より早く利上げするのはほぼ確定し、主要通貨での優位性は変わらない。
もう一つの原因は、ドル建て資産を大量に保有するアメリカン・ファンドマネジャー、中銀外貨準備マネジャー、政府系ファンドなど主要な市場参加者は、一部の資金を株式市場と商品市場に投入しているにもかかわらず、米国での投資にも熱中している。
避難通貨として運用されるドルは、投資ターゲットとしての存在も考えられる現状では、リスク選好にせよ、リスク回避にせよ、ドルが強烈に売られることなく、少しでも良い材料があればすぐ買われるという展開になりやすい。
2010.4.21日 4:09更新
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