風読記 フィリップFXブログ
円高の主因?
金曜日に米格付け会社S&Pがサブプライムローンを担保とした債券の格付けを追加で引き下げると発表したことを発端としてニューヨーク株式市場は大幅に下落しました。サブプライムローンの焦げ付き問題が再燃してきた中での短期間での再度の引き下げとなります。関連の投資ファンドが経営危機に陥り解散を余儀なくされたり、金融当局が監視を強めているとの情報もあります。
サブプライムローンは、米国内で所得や信用力の低い人向けの金融ローンの一種で、自動車や住宅などを担保に年率20~30%の金利で貸し出すものです。格付け引き下げに関して問題となっているのは住宅を担保とした融資ですが、米国の失業率は現在歴史的な低水準にあり、景気も悪くない中で、借り手が返済不能に陥るケースがそれほど多く発生するのは解せません。
実は、サブプライムローンは、低所得者の住宅購入だけに使われているわけではないということはあまり知られていないのではないでしょうか。実は米国の住宅バブルが続く中で同じ住宅購入でも投資を目的とした多くの個人投資家が参入していたのです。住宅価格の上昇率が鈍っただけで、これら“にわか投資家”向けのサブプライムローンが返済不能に陥っているケースが多いのです。
サブプライム問題は、実際どの程度の規模なのでしょうか。米国の住宅ローン残高は約10兆ドルで、このうちサブプライムローンは約10%とみられ、焦げ付きにつながる延滞率はその中の15%程度といわれています。順を追って計算していくと金額的なリスク規模は意外に小さい可能性もあります。また、住宅の価格は下落したわけではなく、上昇率が鈍化した程度という見方が大半を占めていたために3月には問題がある程度は沈静化していました。
しかし、これが再燃したのは、サブプライムローン債権を証券化した金融商品の購入先に対する不安というものがあります。これら金融商品の格付けが大幅に引き下げられたこともあり、多くを購入しているヘッジファンドなどに信用不安が広がったわけです。ヘッジファンドには世界中の金融機関、投資家が資金を拠出しており、影響が国際的な広がりを見せる可能性もあります。
これを受けての株安・ドル安。市場に出されていたストップ注文も飲みこんでの大きな動きになりました。さすがに国策や他国との関係悪化といった根本的な問題ではなく、副次的ともいえる問題だけに120という大台割れはないとは思いますが、迫ってきているだけに意識はしておいてもいいでしょう。
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2007.7.23日 3:23更新
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