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風読記 フィリップFXブログ

FOMC声明文の矛盾?包括エネルギー法…

 今回のFOMC声明文、要約する時に複数回使わざるを得ない言葉、もちろん「インフレ」だ。何よりも議長バーナンキ氏自らが「インフレターゲット論者」であるし、今のアメリカをとりまく経済状況を考えると無理もないだろう。ただ、アメリカの国策を考えると今回の論旨には少々解せない部分があるように思うのは私だけだろうか。
 キーワードはエネルギー法。包括エネルギー法とも新エネルギー法とも訳される05年の8月に成立した法律で、何かと話題のバイオエタノールに関連する法律。ただし、ただの環境対策法とは訳が違う。2012年のバイオエタノール生産目標75億ガロン。国策としてこういった具体的な数値を掲げたことがインフレへの第一歩なのではないか、と思うのだ。
 バイオエタノールの原材料としては大豆やサトウキビなども使われるが米国では自国で調達しやすいという理由から主にトウモロコシが使われている(欧州圏では大豆、南米ではサトウキビが主流である)。エタノール向けの需要として2001年度約1800万トン、直近の2006年度で約5500万トンが消費されているが、2012年目標のエタノール75億ガロンを達成するためには約6830万トンのトウモロコシが必要になる。しかし、これは米行政機関RFA(再生可能燃料協会)の試算であり、民間調査会社PRXの推測では8400万トンのトウモロコシがエタノール用に必要になるとされている。
 残り4年から5年の間に全体ではないにしろ需要の一部分が1.5倍に拡大する、これが価格にどう影響するかは推して知るべしといったところであろう。このエタノール需要と主要な生産地である米中西部の天候悪化懸念で指標となるシカゴトウモロコシの価格は高水準で推移している。直近では生産安定観測から軟化しているものの、長期的にはやはり生産よりも需要の方が際立って見えてしまって仕方がない。京都議定書から離脱しているアメリカにとって世界に環境問題でアピールできるエタノール生産とその後ろ盾となる包括エネルギー法。折りしもアメリカの民間調査会社「ビューリサーチセンター」から「アメリカの国際的な印象度が5年前の調査と比べて33カ国中26カ国で悪化した」という発表があったばかり。
 ますますエネルギー法で掲げた目標には強い意識で臨まざるをえず、そうするとトウモロコシの消費拡大から原料価格が高騰する。いつのことか経済誌に「穀物インフレ」という大見出しが踊ったことがあったが、穀物の高騰に端を発したインフレに向けてのスパイラルの入り口に立っていると言ってもいいかもしれない。
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2007.6.29日 1:32更新

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