投資戦略ウィークリー 2023年5月1日号(2023年4月28日作成)】”大型連休イベント相次ぐ、コロナ5類、低PBR対策多様化 ”
■“大型連休イベント相次ぐ、コロナ5類、低PBR対策多様化
- 日本株相場は、25日は東証プライム市場の売買代金が2兆0507億円と薄商いとなるなど、ゴールデンウィークの連休を直前に控えて動きがとりにくい週だったようだ。来月5月の連休中には、3日に米FOMC(連邦公開市場委員会)、声明発表、4日に欧州中央銀行理事会(ECB)の政策金利発表と続き、5日には4月の米国雇用統計が発表される。昨年9月より大阪取引所の日経平均先物取引が日本の祝日でも取引ができるようになったことで、祝日に相場を大きく動かすようなイベントが発生しても対応できるようになった点は進歩と言えるかもしれない。
- そのような中でも、米国の地銀ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の預金流出が明らかになり、日経平均株価が27日の寄り付き直後に2万8241円まで25日の高値から560円下落する局面があったものの、底堅く推移した。海外市場でメタ・プラットフォームズ(META)の1-3月期決算が好調だったことから買いが広がり、28日の植田新総裁の下での最初の日銀金融政策決定会合が緩和政策継続で円安基調が戻りつつあることから、日経平均株価は週末に向けて年初来高値を更新する展開となった。ゴールデンウィークということで、訪日外国客のインバウンド消費関連が注目されやすかったことも日本株相場を支えた要因と言えそうだ。厚生労働省が27日、新型コロナの感染症法上の位置づけについて5/8に季節性インフルエンザなどと同じ5類に移行することを正式に決定。ホテル運営や空運・電鉄株などが賑わった。
- 東証の要請に基づく低PBR(株価純資産倍率)改善のための株主還元策などの施策への期待は決算発表を通じて高まる可能性があるだろう。英投資ファンドが大手ゼネコンの大林組(1802)に株主還元強化に係る株主提案を行ったこと、および仏投資会社のロンシャン・SICAVが準大手ゼネコンの戸田建設(1860)に自社株買いの株主提案を行ったことが明らかとなった。決算発表による直近の財務状況を踏まえての株主総会までの間が「物言う株主」のアクティビストにとって活動しやすい期間と言えそうだ。また、清水建設(1803)も200億円を上限とする自社株買いを発表。清水建設は道路舗装大手である日本道路(1884)といった上場子会社を擁しているように、低PBRの親会社が同じく低PBRの上場子会社を擁している場合が多くみられる。株主還元策の強化にとどまらず、中核事業子会社のTOBによる完全子会社化と非中核事業の売却といった資本再編の動きも低PBR解消に向けた動きの一環として多くの企業に広がっていく可能性もあるだろう。親子上場による上場子会社の動きからも目が離せないだろう。(笹木)
- 5/1・8号では、石光商事(2750)、ロコンド(3558)、コプロ・ホールディングス(7059)、スズキ(7269)、シェン・ション・グループ(SSG) を取り上げた。
■主な企業決算の予定
- 5月1日(月):イビデン、大塚商会、(米)NXPセミコンダクターズ、バーテックス・ファーマシューティカルズ
- 5月2日(火): 三井物産、日本航空、日本たばこ産業、双日、(米)スターバックス、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、ダイヤモンドバック・エナジー、フォード・モーター、ファイザー、マリオット・インターナショナル(メリーランド)、アイデックスラボラトリーズ
- 5月3日(水): (米)クアルコム、コグニザント・テクノロジー・ソリューションズ、アンシス、メットライフ、メルカドリブレ、エマソン・エレクトリック、クラフト・ハインツ、ベリスク・アナリティクス、エクセロン、CVSヘルス
- 5月4日(木): (米)マイクロチップ・テクノロジー、フォーティネット、アトラシアン、モンスター・ビバレッジ、アップル、ブッキング・ホールディングス、アメリカン・エレクトリック・パワー、コノコフィリップス、データドッグ、リジェネロン・ファーマシューティカルズ、モデルナ、アメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)
- 5月5日(金):(米)ワーナーブラザース・ディスカバリー
- 5月8日(月):HOYA、JFEHD、ヒロセ電機、ブラザー工業、マルハニチロ、ヤマダHD、ユニ・チャーム、リコー、リンテック、丸紅、川崎汽船、大阪ガス、(米)ルーシッド・グループ、ペイパル・HD
- 5月9日(火): FOOD & LIFE COMPANIES、IHI、JMDC、TIS、オートバックスセブン、カルビー、ダイキン工業、ツムラ、ニチレイ、ニトリHD、ネットワンシステムズ、ファンケル、ユー・エス・エス、ライオン、ローム、伊藤忠商事、横河電機、丸井グループ、江崎グリコ、三越伊勢丹HD、三菱自動車工業、三菱商事、住友商事、出光興産、全国保証、太陽誘電、長瀬産業、日本精工、日本郵船、任天堂、(米)エレクトロニック・アーツ、リビアン・オートモーティブ、エアビーアンドビー、グローバルファウンドリーズ、デューク・エナジー
- 5月10日(水): DMG森精機、INPEX、NOK、SCREENHD、アシックス、エア・ウォーター、オリックス、カカクコム、カプコン、ケーズHD、ショーボンドHD、ソフトバンク、ディー・エヌ・エー、デクセリアルズ、トヨタ自動車、パイロットコーポレーション、ハウス食品グループ本社、パナソニックHD、パン・パシフィック・インター、バンダイナムコホールディング、ほくほくフィナンシャルグループ、ホシザキ、ヤオコー、ヤマトHD、リンナイ、旭化成、塩野義製薬、科研製薬、花王、京浜急行電鉄、協和キリン、群馬銀行、三井金属鉱業、三井不動産、三菱重工業、山九、住友金属鉱山、小野薬品工業、小林製薬、川崎重工業、電源開発、島津製作所、東急不動産HD、日清食品HD、日清製粉グループ本社、日本ハム、日本製鉄、不二製油グループ本社、富士フイルムHD、(米)ウォルト・ディズニー・カンパニー
- 5月11日(木):ENEOSHD、FUJI、GMO インターネットグループ、GMOペイメントゲートウェイ、JCRファーマ、PALTAC、SANKYO、SUBARU、SUMCO、TOYO TIRE、アコム、インフロニア・ホールディング、ウシオ電機、エヌ・ティ・ティ・データ、オークマ、カシオ計算機、カドカワ、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、キリンHD、コーセー、コスモエネルギーHD、コナミグループ、コムシスHD、サッポロHD、サワイグループホールディング、サントリー食品インターナショ、ジーエス・ユアサ コーポレーション、しずおかフィナンシャルグルー、シスメックス、シャープ、セコム、ソフトバンクグループ、ダイセル、デンカ、トレンドマイクロ、ニコン、ニプロ、ネクソン、ピジョン、フジ・メディア・HD、ベネフィット・ワン、ペプチドリーム、ミネベアミツミ、メイテック、リログループ、関西ペイント、丸一鋼管、京阪HD、九州フィナンシャルグループ、九州旅客鉄道、栗田工業、古河電気工業、三菱地所、参天製薬、住友大阪セメント、住友不動産、森永製菓、神戸製鋼所、清水建設、西松建設、西日本鉄道、西武HD、太平洋セメント、大正製薬HD、大林組、帝人、東海カーボン、東急、東京エレクトロン、東京応化工業、東京建物、東洋紡、日揮HD、日産自動車、日清紡HD、日本テレビHD、日本空港ビルデング、日本酸素HD、日油、博報堂DYHD、浜松ホトニクス、武田薬品工業、宝HD、本田技研工業、味の素、名古屋鉄道、明治HD、(米)JDドットコム
- 5月12日(金):ADEKA、AGC、DOWAHD、H.U.グループHD、NIPPON EXPRESSホールディング、NTN、SBIHD、SBI新生銀行、TBSHD、UBE、アサヒグループHD、アズビル、アズワン、アマダ、アリアケジャパン、アルバック、いすゞ自動車、いよぎんHD、インターネットイニシアティブ、エクシオグループ、オリンパス、カネカ、クボタ、クラレ、ゴールドウイン、コカ・コーラ ボトラーズジャパ、コロワイド、コンコルディア・フィナンシャルグループ、サンリオ、シップヘルスケアHD、ジャストシステム、スクウェア・エニックス・HD、セイノーHD、セブン銀行、ゼンショーHD、ダイフク、トプコン、ニッコンHD、ニッスイ、ニフコ、ひろぎんHD、ふくおかフィナンシャルグループ、フジクラ、フジテック、ベネッセHD、マツキヨココカラ&カンパニー、マツダ、メディパルHD、めぶきフィナンシャルグループ、ヤクルト本社、ラクス、りそなHD、レンゴー、ロート製薬、ワコールHD、横浜ゴム、王子HD、楽天グループ、京王電鉄、京都銀行、五洋建設、三井化学、三井住友トラスト・ホールディ、三浦工業、三菱ケミカルグループ、三菱マテリアル、三菱瓦斯化学、山口フィナンシャルグループ、資生堂、住友重機械工業、住友電気工業、上組、綜合警備保障、大王製紙、大成建設、大塚HD、大日本印刷、大和ハウス工業、長谷工コーポレーション、東ソー、東レ、東京センチュリー、東芝、東芝、東邦HD、東洋水産、東洋製罐グループHD、凸版印刷、日本触媒、日本製鋼所、日本電子、日本電信電話、堀場製作所
■主要イベントの予定
- 5月1日(月)
・auじぶん銀行日本製造業PMI(4月)、消費者態度指数(4月)
・メーデーの祝日で欧州や英国・香港など休場、労働節の祝日で中国休場(3日まで)
・S&Pグローバル・米製造業PMI(4月)、米建設支出(3月)、米ISM製造業景況指数(4月)
- 5月2日(火)
・国内ユニクロ売上推移速報(4月)、マネタリーベース(4月)、日銀営業毎旬報告(4/30現在)
・米FOMC(3日まで)、豪中銀政策金利発表、ECBのユーロ圏銀行融資調査、アジア開発銀行年次総会(5日まで、韓国・仁川)
・米自動車販売(4月)、米求人件数(3月)、米製造業受注(3月)、ユーロ圏マネーサプライ(3月)、S&Pグローバル・ユーロ圏製造業PMI(4月)、ユーロ圏CPI(4月)、香港GDP(1Q)
- 5月3日(水)
・米FOMC声明発表・FRB議長記者会見、ブラジル中銀とマレーシア中銀が政策金利発表
・米ADP雇用統計(4月)、S&Pグローバル・米サービス・コンポジットPMI(4月)、米ISM非製造業総合景況指数(4月)、ユーロ圏失業率(3月)
- 5月4日(木)
・ECB政策金利発表・総裁記者会見、EU外相理事会(開発、ブリュッセル)、英地方選
・米新規失業保険申請件数(4/29終了週)、米貿易収支(3月)、S&Pグローバル・ユーロ圏サービス業・総合PMI(4月)、ユーロ圏PPI(3月)、中国財新製造業PMI(4月)
- 5月5日(金)
・米セントルイス連銀総裁講演、ECB専門家予測調査
・米雇用統計(4月)、米消費者信用残高(3月)、ユーロ圏小売売上高(3月)、独製造業受注(3月)、中国財新コンポジット・サービス業PMI(4月)
- 5月6-7日(土・日)
・英チャールズ国王戴冠式
- 5月8日(月)
・新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類へ移行、日銀金融政策決定会合議事要旨(3月9・10日分)、auじぶん銀行日本サービス業・複合PMI(4月)
・米卸売在庫 (3月)、独鉱工業生産 (3月)
- 5月9日(火)
・実質賃金総額・ 毎月勤労統計-現金給与総額・家計支出(3月)
・ASEAN首脳会議・関連会合(11日まで、インドネシア・ラブハンバジョ)
・中国貿易収支 (4月、10日までに発表)、中国経済全体のファイナンス規模・新規融資、マネーサプライ(4月、16日までに発表)
- 5月10日(水)
・景気一致指数・景気先行CI指数(3月)
・ポーランド中銀政策金利発表
・米CPI (4月)、米財政収支 (4月)、独CPI(4月)
- 5月11日(木):
・G7財務相・中央銀行総裁会議(13日まで、新潟市)、日銀金融政策決定会合における主な意見(4月27・28日分)、国際収支:経常収支 (3月)・貿易収支 (3月)、銀行貸出動向 (4月)、 対外・対内証券投資(4月23-29日、4月30日-5月6日)、 東京オフィス空室率 (4月)、景気ウォッチャー調査 先行き判断・現状判断(季調済) (4月)
・ペルー中銀と英中銀が政策金利発表、OPEC月報、ITEX2023(12日まで、クアラルンプール)
・米新規失業保険申請件数 (5月6日終了週)、米PPI (4月)、英GDP (1Q)、英鉱工業生産 (3月)、中国CPI・PPI (4月)、フィリピンGDP (1Q)
- 5月12日(金):
・マネーストックM2・M3(4月)、日銀 営業毎旬報告(5月10日現在)
・米FRBのジェファーソン理事とセントルイス連銀総裁、パネル討論会に参加、 チリ中銀が政策金利発表
・米輸入物価指数 (4月)、米ミシガン大学消費者マインド指数・速報値 (5月)、マレーシアGDP (1Q)、香港GDP (1Q)
- 5月13-14日(土・日):
・独ブレーメン州議会選挙、トルコ議会選挙・大統領選挙(決選投票は28日)、タイ総選挙
(Bloombergをもとにフィリップ証券作成)
※本レポートは当社が取り扱っていない銘柄を含んでいます。
■米国決算発表から窺われる傾向
米国主要企業の23年1-3月期決算発表も半ばに差し掛かった。メタ・プラットフォームズ(META)は以前より「今年は効率性を重視」と利益率改善に舵を切る中で収益面でも改善。航空機タービン事業への選択と集中に取り組むGE(GE)も航空機需要が追い風だ。供給網の課題から航空機製造のボーイング(BA)よりも補修に対応できる部品メーカーの方が優位性がある。マクドナルド(MCD)やペプシコ(PEP)、コカコーラ(KO)は価格転嫁で優位だろう。インテュイティブ・サージカル(ISRG)やアボット・ラボラトリーズ(ABT)といった医療機器メーカーは不要不急と後回しだった治療・手術の繰延需要が追い風だ。一方でテスラ(TSLA)は電気自動車(EV)の積極的値下げに伴い利益率悪化。他の自動車メーカーも影響を受けている。
【米国決算発表から窺われる傾向~自動車会社を除けば概ね堅調が多い】
■シンガポールの代表的な銀行株
シンガポールで時価総額首位の銀行を擁するDBSホールディングスは、22年10-12月期の預貸利鞘の純金利マージン(NIM)が2.61%、営業収益に対する営業費用比率(経費率)が42.8%とバランスが取れている。米商業銀首位JPモルガン・チェース(JPM)は23年1-3月で非市場部門NIMが3.80%と高いものの経費率は51%。日本で銀行首位の三菱UFJフィナンシャルG(8306)は、22年4-12月の預貸金利回差が0.73%、営業費の連結業務粗利益に対する比率は61.4%。
2018年初以降の株価推移をみても、価格変動性が相対的に小さい中で上昇傾向。円建てではシンガポールの自国通貨購買力と労働者貯蓄価値重視の金融政策の基本方針を受けたシンガポールドル高傾向からの恩恵も見られる。
【シンガポールの代表的な銀行株~円建てでは為替安定度合いで更に魅力】
■高配当株の優位性は続きそう?
日経平均株価の構成銘柄のうち配当利回りの高い50銘柄で算出される「日経平均高配当株50指数」の推移を日経平均株価と比較すると、21年後半以降はバリュー株優位の物色傾向を受けて日経平均をパフォーマンスで上回りその傾向が加速している。その要因としてはバリュー株重視という以外にも、高配当利回り銘柄の配当金額が増加する中で配当金の再投資先としても高配当利回り銘柄が選定されやすいことも挙げられよう。
その他にも、岸田政権が設立した10兆円規模の大学ファンドは運用目標が4.38%とされるなか、配当利回りに着目した運用が行われやすいだろう。また、クレディスイスの永久劣後債(AT1債)が無価値となるなど高利回り債券のリスクの認識も高配当利回り株の選好を高めよう。
【高配当株の優位性は続きそう?~日経平均高配当株50指数の動向に注目】
■銘柄ピックアップ
石光商事(2750)
725 円(4/28終値) 東証スタンダード上場
・1906年に石光季男が単身渡米しロサンゼルスで創業。コーヒー輸入・販売を主力とする飲料・食品輸入商社であり、老舗のコーヒー生豆商社として業務用では国内市場シェア首位を誇る。
・2/10発表の2023/3期9M(4‐12月)は、売上高が前年同期比27.6%増の445.04億円、営業利益が同43.2%増の11.99億円。セグメント別売上高はコーヒー・飲料事業が同35%増の171.34億円、食品事業が同20%増の205.84億円、食品輸出に係る海外事業が同34%増の67.85億円と伸長した。
・通期会社計画は、売上高が前期比25.0%増の584億円、営業利益が同2.2倍の15.04億円。年間配当金を同10円増配の24円。飲食店向け高級コーヒー豆(アラビカ種)が最大輸出国ブラジルの不作やコロナ禍収束に伴う世界的なコーヒー需要の高まりで21年より国際価格が高騰。インスタントコーヒー向けの安価なロブスタ種でも代替需要が高まるなか、輸出国ブラジルで農家が減少傾向。
ロコンド(3558)
1,792 円(4/28終値) 東証グロース上場
・2010年設立で靴を中心とした通販サイト「LOCONDO.jp」を運営。同サイト運営のECモール事業、IT・物流インフラ等を共有・活用のプラットフォーム事業、ブランド運営を行うブランド事業を展開。
・4/14発表の2023/2通期は、売上高が104.64億円(連結決算導入前前期:98.75億円)、EBITDA(償却前営業利益)が11.69億円(同:10.37億円)。商品取扱高が236.29億円(同:212.17億円)。3Q(9-11月)より伊藤忠商事(8001)との共同出資で有名ブランドReebok国内販売権を獲得し事業展開。
・2024/2通期会社計画は、売上高が前期比33.8%増の140億円、営業利益が同76.5%増の17.50億円。ECモール事業で自社モールでのReebok商品販売、プラットフォーム次号で公式ECサイト運営、更にブランド事業で実店舗および卸売り販売を手掛けられるなどReebokは同社の主要3事業すべてに寄与し得る。ファッションECモールでZOZOTOWNの牙城を崩す強力な切り札となり得よう。
コプロ・ホールディングス(7059)
1,450 円(4/28終値)
・2006年に名古屋市で設立の技術者派遣事業会社。建設・プラント技術者派遣・紹介、機械設計開発技術者派遣・請負、SES(システム・エンジニアリング・サービス)の3事業サービスを展開。
・2/13発表の2023/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比18.7%増の135.84億円、営業利益が同23.1%減8.62億円。建設技術者派遣・紹介における技術者採用数の増加に加え、機械設計開発技術者派遣会社およびSES会社の連結子会社化により技術者数が同28%増の2824人に拡大。
・通期会社計画は、売上高が前期比17.9%増の183.80億円、営業利益が同25.7%減の12.04億円、年間配当が同横ばいの40円。同社は主力の建設業界向け人材派遣でスーパーゼネコン5社が売上構成比の25%を占めている。時間外労働規制強化による人手不足の「2024年問題」を好機と捉え、建築図面・現場アプリ「SPIDERPLUS」開発販売のスパイダープラス(4192)と業務提携。
スズキ(7269)
4,699 円(4/28終値)
・1909年に浜松市で鈴木式織機製作所を創業。四輪車、二輪車、船外機および電動車いす他の製造販売を主に営む。国内で軽自動車2強、二輪3位。インドで四輪で市場シェア4割強を占める。
・2/7発表の2023/3期9M(4-12月)は、売上高が前年同期比32.6%増の3兆4128億円、営業利益が同82.0%増の2669億円。主力の四輪事業は、売上高が同31.9%増の3兆0493億円、セグメント利益が同82.5%増の2110億円。世界販売台数が同13%増、半分を占めるインドは同26%増だった。
・通期会社計画を上方修正。売上高は前期比26.1%増の4兆5000億円で据え置きも、営業利益を同61.9%増の3100億円(同2900億円)とした。年間配当は未定。26日発表のインド子会社マルチ・スズキ・インディアの1-3月期は純利益が42%増。同社は今年中に中国を抜いて人口世界一になるとみられるインドで「5割シェア奪還&EV投資」を年初に掲げた。インドでの生産能力倍増を検討中。
シェン・ション・グループ(SSG)
市場:シンガポール 1. 77 SGD(4/27終値)
・1985年設立のシンガポール小売業者で幅広い生鮮食品に加え包装・加工・冷凍・保存食品まで「ウエットとドライ」を扱う。国内64店舗、中国昆明で4店舗の他「シェン・ション・オンライン」を展開。
・2/27発表の2022/12通期は、売上高が前期比2.2%減の13.39億SGD、当期利益が同0.4%増の1.33億SGD。新規店舗5店オープンも新型コロナ感染拡大時の巣ごもり需要からの行動規制正常化の影響で既存店売上高が減少。利益面では製品ミックス改善もあり粗利益率が同0.7ポイント改善。
・2022/12期7-12月期は、売上高が前年同期比3.7%減の6.62億SGD、純利益が同1.3%減の66.1百万SGD。粗利益率は同0.1ポイント上昇も、一般管理費と営業費用の増加が響いた。特に営業費用については新たなリース物件取得に伴う減価償却費の増加に加え、人件費についてはシンガポールで昨年9/1から適用された「漸進的賃金モデル(PWM)」により人件費に占める固定費率が上昇。
■アセアン株式ウィークリーストラテジー
(5/1号「シンガポールの『漸進的賃金モデル』とは」
シンガポールで昨年9月より導入された「漸進的賃金モデル(PWM:プログレシブ・ウエイジ・モデル)」とは、労働集約型で、職場で体系的な教育研修が十分に実施されておらず、結果的に賃金が比較的低く抑えられている業種について、シンガポール国籍および永住権を有する従業員の教育研修の実施と賃金の上昇を合わせて義務付けて、労働生産性の向上を目指す制度。
小売業では5つの職能の各々の段階において所定の労働力技能資格の研修コースのうち最低1つを受講させるとともに、下位3段階の職能について最低賃金を遵守することが義務付けられる。国策による生産性向上への取組みにより企業は足元で人件費上昇による利益率低下の懸念も、将来的な生産性向上で吸収できよう。賃金上昇が課題とされる日本も参考にすべき政策だろう。
- 上場有価証券等のお取引の手数料は、国内株式の場合は約定代金に対して上限1.265%(消費税込)(ただし、最低手数料2,200円(消費税込)、外国取引の場合は円換算後の現地約定代金(円換算後の現地約定代金とは、現地における約定代金を当社が定める適用為替レートにより円に換算した金額をいいます。)の最大1.10%(消費税込)(ただし、対面販売の場合、3,300円に満たない場合は3,300円、コールセンターの場合、1,980円に満たない場合は1,980円)となります。
- 上場有価証券等は、株式相場、金利水準等の変動による市場リスク、発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合の信用リスク、外国証券である場合には為替変動リスク等により損失が生じるおそれがあります。また新株予約権等が付された金融商品については、これらの権利を行使できる期間の制限等があります。
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アナリストのご紹介 フィリップ証券リサーチ部
笹木 和弘
フィリップ証券株式会社:リサーチ部長
証券会社にて、営業、トレーディング業務、海外市場に直結した先物取引や外国株取引のシステム開発・運営などに従事。その後は個人投資家や投資セミナー講師として活躍。2019年1月にフィリップ証券入社後は、米国・アセアン・日本市場にまたがり、ストラテジーからマクロ経済、個別銘柄、コモディティまで多岐にわたる分野でのレポート執筆などに精力的に従事。公益社団法人 日本証券アナリスト協会検定会員、国際公認投資アナリスト(CIIA®)。