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幅広く学ぶ、MT5のすべて

 

ザックリ解説、MT5のバックテスト結果の見方を紹介

MT5ではEAのバックテストが簡単にできます。しかしバックテストの後、パフォーマンスのグラフを眺めるだけの方も少なくありません。バックテストの結果について、グラフ以外からもEAの性能を読み取ってみましょう。バックテスト後に表示される主要な数字について、取り上げて見方を解説します。

 

「バックテスト」→右クリックでレポートの保存が可能

EAのバックテストを行った後、「バックテスト」タグからバックテストの結果について、様々な数字でEAの能力把握ができます。また「グラフ」タグで、EAのパフォーマンスをグラフで表示可能です。

「バックテスト」と「グラフ」の2つのタグ内容を見ることで、バックテストの結果が分かります。また、「バックテスト」タグの画面上で右クリックして「レポート」→「表示」で、バックテストの結果を「ストラテジーテスターレポート」として保存できます。

バックテストの結果分析は、MT5の画面から行うより、一度保存して広い画面で行うのが効率的といえるでしょう。下記がhtml形式で保存して表示させたストラテジーテスターレポートです。

ストラテジーテスターレポートにはバックテストの数字結果、パフォーマンスのグラフ、注文履歴などが表示されます。

  • mt4でも同様の手順でストラテジーテスターレポートの保存が可能です

 

ストラテジーテスターレポートの簡単な見方

実際のストラテジーテスターレポートを見てみましょう。先ほどのストラテジーテスターレポートは、MT5にデフォルトで付属のEA「Moving Average」を、USD/JPYの1時間足で2024年1月1日から2024年4月30日まで4ヵ月間のバックテストを行ったものです。下落が進むグラフで、取引を重ねるごとに資金は減るため、EAとしてはこのままの利用は困難という結果です。

結果部分で見るべき数字として、以下の7項目を取り上げました。

  1. 総損益 -740.77 → 累計の損益
  2. 残高最大ドローダウン -1,651.53(15.90%) → 損失発生時の資金に対する最大の減少率(右隣の証拠金最大ドローダウンは含み損益を加味した数字)
  3. プロフィットファクター 0.73 → 総利益が総損失の何倍かを示す(1を超えると利益が出る)
  4. リカバリーファクター -0.44 → 損失を取り戻すために必要な利益比率を示す(1を超えると利益が出る)
  5. 期待利得 -7.12 → 1回の取引で平均的に発生する利益(本ケースでは1回あたり-7.12の損失が発生)
  6. 取引数 104 → バックテストにおける取引回数。取引回数が少ない場合、取引回数が多くなると結果が大きく異なることもあります。
  7. 最大連敗数(金額) 8(-361.69) → 最大の連敗数とその総額。良好なパフォーマンスのEAであっても、連敗が続くEAはメンタル的に稼働の継続が難しい場合も。

プロフィットファクターや期待利得がマイナスのEAは、そのままでは利益が出ないと判断できます。まだ最大連敗数が大きいEAは、期待利得などがプラスであっても、稼働を続けるメンタルストレスが高く取り扱いには注意が必要です。

  • mt4にもストラテジーテスターレポートがあるものの、表示される数字はMT5に比べ限定されます

 

棒グラフにも注目

パフォーマンスのグラフの下には、時間毎や週毎の取引分析の棒グラフが表示されており、取引タイミングの視点で分析する際は、本棒グラフが役立ちます。

今回のEAのパフォーマンスはマイナスです。ただし、月毎で見ると1月と4月は利益が出ており、1年を通して見ると、利益が出るEAとなる可能性も秘めています。

  • mt4のストラテジーテスターレポートには棒グラフはありません

 

まとめ

バックテストの後、ストラテジーテスターレポートの損益グラフが徐々に上昇するEAが理想的です。ただし短期の時間足になるとともに、徐々にマイナスが進むグラフとなることが多くなります。またマイナーな通貨ペアの取引でも、安定的にプラスのパフォーマンスとなるのは難しいといえるでしょう。

EA毎に推奨設定があるため、最初は推奨の設定でバックテストを行うべきです。その後、オリジナルの設定でバックテストを行う際は、長めの時間足かつメジャー通貨ペアで試すことが、良好なテスト結果を得る近道となります。

まずは様々なEAや設定でバックテストを行い、ストラテジーテスターレポート自体に慣れましょう。

 

執筆者紹介

FX雑誌『外国為替』の編集長。元FX攻略.com副編集長。

成功しているトレーダーや証券会社への豊富な取材経験を生かし、公正かつ独自性が高い執筆をモットーとしている。
また、個人投資家として、FX、海外株式、先物、暗号資産など、幅広いジャンルへの投資を行っている。