ボリンジャーバンドとは統計学の手法、すなわち『標準偏差』を使ったテクニカル分析です。標準偏差とは、平均からの散らばり具合を分析します。1標準偏差(1σ)だと68%の範囲内で価格データが入ると計算されます。2標準偏差(2σ)だと95%、3標準偏差だと(3σ)だと98%となります。
ここでは2標準偏差のボリンジャーバンドを見てみたいと思います。
下図はユーロドルの日足と移動平均線を20日にした場合の2標準偏差のボリンジャーバンドです。
矢印の範囲内に95%の値動きが入るとされるのです。
でも、これだけでは、相場をどのように分析すれば良いのかわかりませんよね。
そこで今回はボリンジャーバンドの見方について説明をしたいと思います。
ボリンジャーバンドの見方は、大きく分けると2つあります。
1つは、オシレーター系としての分析方法です。
もう一つは、トレンド系としての分析です。
そうなのです、ボリンジャーバンドというのは、トレンド系のテクニカル分析とオシレーター系のテクニカル分析の両方を兼ね備えるテクニカル分析なのです。
まずは、オシレーター系のテクニカル分析の見方から説明したいと思います。
赤矢印と黄矢印の箇所のボリンジャーバンドを見てください。赤矢印のボリンジャーバンドよりも黄矢印のボリンジャーバンドの部分の方が狭くなっているのがわかると思います。
この例のように、ボリンジャーバンドの幅が広い部分、狭い部分があるのですが、それは何を意味しているのでしょうか。
ボリンジャーバンドの幅の部分が広いというのは、直近の値動きが大きかったがゆえに、平均値に対して個々の価格の散らばりが大きかったということを意味しています。
逆に、狭いというのは、直近の値動きが小さかったがゆえに、平均値に対して個々の価格の散らばりが小さかったということを意味しています。
では、散らばりが小さいということはどういうことなのでしょうか。
それは、もち合いが続いていたということではないでしょうか。換言すれば、エネルギーが溜まっている状態とも言えるのではないでしょうか。
ということは、ボリンジャーバンドの狭くなった部分を超えていくというのは、もち合いから放れていくということに意味していると考えることもできます(青矢印)。
そうなのです、そこにトレンドが出現したと判断することができるのです。
テクニカル分析は2つに大別することが出来ます。一つはトレンド系のテクニカル分析、他方はオシレーター系のテクニカル分析です。
でも、ボリンジャーバンドはこの2つの機能を兼ね備えたテクニカル分析なのです。
川口 一晃(オフィスKAZ代表取締役)
1986 年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問や国内投信会社で11年間ファンドマネージャーを務める。
2004年10月に独立してオフィスKAZ 代表取締役に就任。