RSIは買われ過ぎ・売られ過ぎを分析するオシレーター系のテクニカル分析を代表する手法の一つです。算出された数値は100分率で示され、通常、70%以上は『買われ過ぎ』と判断され、70%以上の数値を示現した後に下落に転じた時が『売りシグナル』とされます。逆に、30%以下の『売られ過ぎ』の数値の後に上昇に転じた時が『買いシグナル』となるのです。
ところで、この買われ過ぎ・売られ過ぎのサインの他にも確度の高い売買シグナルをRSIは発する時があります。
上図を見てください。上段にはユーロ円のローソク足、下段にはRSI(9日間)を表示しています。
前述したように、RSIは『買われ過ぎ・売られ過ぎ』を分析するテクニカル分析です。上段左側にある青矢印の箇所のように、①で高値を示現した後に値を下げ、再び高値に接近したとしても②のように①での高値を超えていけないのであれば、①の時ほどの買われ過ぎ状態ではないであろう、と考えられるのが一般的です。つまり、2つの高値が形成された際にその2つの高値水準を比べ右肩下がりになっているのであれば、下段にあるRSIの数値も右肩下がりになっているのが通常の状態であると考えられます(RSIの青矢印)。
次に、右側の赤矢印の箇所を見てください。ローソク足は③で安値を示現した後に④では③での安値を割り込み安値更新となっています。つまり、売られ過ぎ状態がさらに売られ過ぎ状態になったと通常であれば考えられる局面です。
しかし、下段のRSIを見ると、最初の安値③の時の数値の方が低く(売られ過ぎ状態)、③の安値よりも価格水準の低い④の安値を更新したにも拘わらず、RSIの数値は上昇に転じているのです(RSIの赤矢印)。
通常は価格の動きとRSIの数値の動きは同じように動くことが考えられるのですが、稀にここで示したように、価格の動きとRSIの数値の動きが逆になる(逆方向を示す)ことがあるのです。これを『ダイバージェンス(逆行)』と呼んでいます。
ダイバージェンスは
該当します。
では、ダイバージェンスの状態が認められた時には価格はどのような動きになるのでしょうか。
RSIの数値が向かっている方向に動くことが多いと言われています。
する確率が高いのです。
上図で示したケースでは、RSIの数値が右肩上がりに推移しているので、上昇に転じることを示唆していますし、実際に上昇となっています。
下図の点線で囲った箇所を見てください。
RSIの数値が高位で推移しているのがわかります。つまり、買われ過ぎ状態が続いていることを意味しています
実は、上昇でも下落でもトレンドが強く長く出ている場面では買われ過ぎないしは売られ過ぎ状態が長く続いてしまうという傾向があります。
そうなると、例えば上昇トレンドが続き買われ過ぎ状態が続く中、一時的にでも『売りシグナル』が出現しそのシグナル通りに売りポジションを取ったりすると、その後も続く上昇トレンドによって評価損が生じてしまうということになるのです。
下落トレンドが続く中で、買いシグナルが出て買いポジションを取ったとしても、その後も続く下落トレンドの中で下げ止まらず評価損が膨らむ、ということにもなってしまうのです。
したがって、RSIを使用する時は、トレンドに強い移動平均線などのテクニカル分析を併用し、トレンドの分析も合わせて行うことをお勧めします。
RSIは「ある期間の値動きの中で、上昇した値動きの割合から買われ過ぎ、売られ過ぎを判断する手法」と言えます。
例えば、5日間で考えた場合、1円の上昇が4日間続き、5日目に1円下落すると、5日間で5円動いた中で4円の上昇となりますので、RSIの数値は80%となり買われ過ぎ状態を表します。
ところが、6日目に6円の下落を記録するとなると、今度は5日間で10円の値動きのうち3円の上昇となりますので、RSIの数値は30%の売られ過ぎへと急減します。
また、1日目に6円の下落を記録、2日目は1円の下落、3日目から5日目までは1円の上昇を記録したとします、この場合、RSIの数値は30%の売られ過ぎ状態となっています。次に、6日目に1円の上昇を記録すると、1日目の6円の下落が計算期間から除外されますので、RSIの数値は80%に急上昇するのです。
そうなのです。RSIの数値は計算期間によって入ってくる数値ないしは出ていく数値の多寡によって影響を受けやすいという点があることにも注意をする必要があります。
川口 一晃(オフィスKAZ代表取締役)
1986 年銀行系証券会社に入社。銀行系投資顧問や国内投信会社で11年間ファンドマネージャーを務める。
2004年10月に独立してオフィスKAZ 代表取締役に就任。