English

知識ゼロから始めるMT5 EA講座

 

バックテストの結果の見方

目次-MT5では、手軽にEAのバックテストを行えます。バックテストの結果について、視覚的に何となく分かりやすい損益グラフを眺めて終わるだけではもったいないです。レポートの内容を通して、EAの性能を読み取れるようになりましょう。-

 

ストラテジーレポートで見るべき所

以下の画像は、佐川直弘氏が開発した「Beatrice Excelsior」のストラテジーレポートです。
(ストラテジーレポートの表示方法は「  」のリンク先を参照)

 

多くの情報が表示されていますが、結果の中で特に注目すべき点について見ていきます。

 

 

①総損益(34514.35)
総利益-総損失で求められる、全ての取引の結果です。いくら稼いだか(いくら負けたか)が金額ベースで分かる最重要データの一つで、ここがマイナスだと、そのEAは有効性がないと判断できます。

②残高最大ドローダウン(129.69、0.36%)
テスト期間において、最大の残高からもっとも減少した際の金額と下落率を表します。実際に運用する時は、この最大ドローダウン規模の下落を想定する必要があります。

③プロフィットファクター(21.85)
総利益(勝ち)が、総損失(負け)の何倍かを表す指標です。1.0よりも大きければ勝っていることを、小さければ負けていることを示します。x

プロフィットファクターが大きすぎる場合は、過去データに合わせすぎて、実際の運用に有効性がない「過剰最適化」を考慮する必要があります。そのようなケースでは、フォワードテストでの検証もした方が良いでしょう。

ただしこのBeatrice Excelsiorはナンピン型のロジックであるため、こまめに損切りをするEAと比較してPFが圧倒的に高くなりやすい特徴があります。

④リカバリーファクター(214.41)
総損益÷最大ドローダウンで求められる比率です。リスクに対してどれだけのリターンが期待できるかを示す指標です。

この数値が大きければ、少ないリスクで大きな利益が得られる可能性があると分かります。適正な目安は、1年間のテストなら1.0以上、10年間のテストなら10.0以上といわれています。

この項目もプロフィットファクター同様、ナンピン型のロジックは高い数値になることを把握しておく必要があります。

⑤期待利得(25.43)
1トレードで期待できる損益額です。スプレッド耐性とも言い換えられる数値で、これが小さすぎるとスプレッド負けしやすいと判断できます。

⑥取引数(1357)
文字通り、取引の回数です。この取引数が多いほど、テストの信頼度が増します。取引数が少なすぎる場合は、優位性があるとは言えない可能性があります。

⑦最大連敗数(金額)(3、-21.26)
最大の連敗数とその総額です。連敗が続くEAは、メンタルに与える影響を考慮すると、稼働の継続が難しいかもしれません。

 

グラフの見方

ストラテジーレポートの下部にはグラフがいくつか並んでいます。

 

損益グラフ

 

このグラフで表されるのは口座残高の推移です。どんな推移を経て勝ったり負けたりしているのかを確認できます。これが右肩上がりになっていると、残高が順調に増えているといえます。

 

時間ごと、週ごとの取引分析

さらに下を見ていくと、時間ごとや週ごとの取引分析を表す棒グラフが表示されています。取引タイミングの視点で分析する際に役立ちます。

 

まとめ

通貨ペアや時間足など、それぞれのEAには推奨の設定があるため、それを確認してからバックテストを行いましょう。

自分でバックテストの結果を読み取れるようになれば、将来的に自分に合うEAを選ぶ上での判断基準を身に着けることができます。

ただ、バックテストはあくまでも過去のデータに基づいたテストであり、その結果が未来の相場でのパフォーマンスを保証するものではないことには注意が必要です。

試せる環境があれば、まずは様々なEAや設定でバックテストを行い、ストラテジーレポートの分析に慣れていきましょう。

 

執筆者紹介

FX雑誌『外国為替』の編集長。元FX攻略.com副編集長。

成功しているトレーダーや証券会社への豊富な取材経験を生かし、公正かつ独自性が高い執筆をモットーとしている。
また、個人投資家として、FX、海外株式、先物、暗号資産など、幅広いジャンルへの投資を行っている。