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MT5コラム

 

FX、MT5関連キーワード解説コラム『MT5でのバックテストの方法』

FX取引では外国の指標や指数、または通貨の名称など普段の生活の中ではあまり耳にしないようなワードが多く聞かれます。

そこでこの記事では、FX、MT5関連キーワードを紹介し、内容の理解を深めていただくとともに、お取引に役立てていただけるようまとめています。

 

FXでEA(自動売買プログラム)を利用する際は、使用するEAが過去相場でどのくらいの成果を出しているか把握しておく必要があります。

過去のパフォーマンスを把握するために便利な機能が、MT5のバックテスト機能です。

この記事では、MT5のバックテスト方法や注意すべきポイントまで詳しく解説します。

MT5をEA・インジケーターのバックテストを実行する方法

  • バックテスト結果の見方について
  • バックテストの結果から最適なEAを探す方法
  • バックテストを実施する際に注意すべきポイント
  • 目次

 

MT5のバックテストとは

MT5のバックテストは、MT5(Meta Trader5)プラットフォームで提供されている機能です。

過去の市場データをもとに、EAやインジケーターの成績を確認できます。

EAは、MT4やMT5といった取引プラットフォームで動作する自動売買プログラムです。

手動でおこなう裁量トレードとは異なり、プログラムが自動で取引をおこないます。

勝ちやすいEAもあれば、そうでないEAもありますが、バックテストをおこなうことで、特定の期間におけるパフォーマンスが確認できます。

過去の相場でどれだけの収益が出たかだけでなく、EAのリスクや特性を理解するためにも重要な役割を果たします。

なお、EAはそれぞれ対応しているプラットフォームが異なり、MT5ではMT5専用に作成されたEAのみバックテストが可能です。

 

MT5のバックテストの方法

EAのバックテストをおこなう際は、事前にMT5内にEAを挿入しておきましょう。
具体的なバックテストの方法は以下のとおりです。

 

ストラテジーテスターの基本的な設定

まずは、パソコンでMT5を起動させ、[表示]→[ストラテジーテスター]の順にクリックをします。

 

MT5の下部にストラテジーテスターの各種項目が表示されるので、[設定]タブをクリックしましょう。

 

ストラテジーテスターでは、以下の項目を設定します。

  • エキスパート:バックテストを取得したいEAを選択
  • 銘柄:検証したい通貨ペアを選択
  • 時間足:*1時間足を選択
  • 日付:テストする期間を指定
  • フォワードテスト:一定の期間をバックテストに使用、結果をもとにフォワードテストをおこなうかどうかの期間選択
  • 延滞:指定した時間の分だけ遅れることを想定する項目
  • モデル:全ティック、*2コントロールポイント、*3始値のみから選択
  • *1時間足...チャート分析で使われる時間単位のこと。1分足、5分足、1時間足、日足などがあり、それぞれの期間内の価格変動を示す。
  • *2コントロールポイント...重要な価格変動だけを取り込むバックテストのモデルのこと。
  • *3始値(はじめね)...ある通貨ペアの取引が開始された時点の最初の価格のこと。その日の基準の価格となる。

通貨ペアや時間足は、EAごとに指定されている場合があります。
すべての条件に適合しているわけではなく、「USD/JPY1分足専用」と指定されているEAも多いので注意しましょう。
EAのロジックに適していない設定をすると、バックテストができない場合があります。

また、バックテスト時には、初期証拠金とレバレッジを設定できます。
レバレッジとは、手元の資金を元に、より大きな金額を取引できる仕組みを指します。例えば、25倍のレバレッジをかけると、1万円の資金で25万円分の取引が可能です。少額の資金でも大きな利益を狙えますが、同時に損失も大きくなるリスクがあります。
初期証拠金は取引する金融商品や業者によって異なり、レバレッジもFX会社によって提供される範囲内で選択可能です。
すべての設定が完了したら、ストラテジーテスターの右下にあるスタートをクリックすることでバックテストが開始します。

 

ストラテジーテスターでパラメータを変更

ストラテジーテスターの下部にある[パラメータ]タブをクリックすると、パラメータ設定のタブが表示されます。

 

この設定タブの一番左にある[値]欄はバックテストで検証するパラメータを設定する項目です。
この値欄はダブルクリックで編集ができます。
実際の取引環境に近い条件でテストし、戦略の効果やリスクをチェックすることができます。
パラメータを変更することで、より精度の高い取引戦略を開発し、実際の取引での成果を向上させることが可能です。

 

バックテストのエラー確認

バックテストでは、何らかのエラーが発生するケースもあります。
EAの仕様に対して通貨ペアや時間足が異なるケースや、バックテスト時に設定した証拠金が少ないなど原因はさまざまです。

 

バックテストのエラーは、[操作ログ]という項目から確認できます。
また、より詳細なエラーの内容を確認するには、ビジュアルモードでテストをおこない、[ジャーナル]という項目を選択するとよいです。

 

ビジュアルモード設定

バックテストのビジュアルモードとは、過去チャートを見ながらバックテストが実行できる機能です。
ストラテジーテスターの[チャート、指標、取引を表示するビジュアルモード]にチェックを入れることで、別ウィンドウに表示されます。

 

ビジュアルモードの上にある各種項目を選択することで、再生や停止、再生速度の調整などが自由におこなえます。
過去チャートを見ながらバックテストをおこない、勝つポイントや負けるポイントを見たい方は活用しましょう。

 

インジケーターのバックテスト

MT5ではEAのバックテストだけではなく、各種インジケーターのバックテストもできます。
ストラテジーテスターの[概要]をクリックすると、以下のような画面が表示されます。

 

この中から、[インディケータ]を選択するとインジケーターのバックテストをおこなえます。

最初にバックテストをしたいインジケーターを選択します。
銘柄や時間足、バックテストを取得したい期間を選択して、画面右下のスタートをクリックするとバックテストが開始されます。

 

バックテストが始まらない場合

MT5のバックテストが始まらない場合は、さまざまな原因が考えられます。

最も多い原因はヒストリカルデータの不足です。
FXにおけるヒストリカルデータとは、過去の外国為替市場での取引データを指します。
例えば、2022年〜2024年のバックテストをしたいのに、2023年以降のデータしか入っていないといった場合ではバックテストが始まらない可能性があります。

不足している場合は、以下の手順でデータをダウンロードしてください。

 

まず、[ツール]→[オプション]→[チャート]の順にクリックして、チャートの最大バー数にて[Unlimited]を選択して[OK]をクリックします。

そのあと、[表示]→[銘柄]→[チャートバー]の順にクリックして、ヒストリカルデータをダウンロードする銘柄を選択しましょう。

 

ヒストリカルデータを取得したい銘柄と時間足、期間を選択して[情報呼出]をクリックすると、過去のデータが取得可能です

また、バックテスト時は、EAやプラットフォームの設定にも注意が必要です。
テストの開始日時や終了日時、通貨ペア、タイムフレームが正しく設定されているか確認しましょう。
さらに、インターネット接続の不安定さやMT5ソフトウェアのバージョンが最新でないことも、バックテストが始まらない原因となります。

 

バックテスト結果を表示

バックテストが完了すると、ストラテジーテスターの下部メニューにある[バックテスト]からテスト結果が表示できます。

 

[レポート]タブで総合的な結果が表示されます。
ここでは、総利益や損失、勝率、取引回数、最大ドローダウンなどの重要な指標が確認可能です。
最初に見るべきポイントが総損益の項目で、期間中にどのくらいのパフォーマンスが得られたかを確認できます。

また、証拠金維持率の項目には、バックテスト期間における最小の証拠金維持率が表示されるので、EA稼働時のリスクの高さが確認できます。

[バックテスト]タブ内を下にスクロールすると、各種グラフが表示されます。

 

曜日や月ごとの取引回数や、時間帯別の勝率が確認可能です。

[グラフ]タブでは、資産の変動を視覚的に確認できます。

 

これらのデータをもとに、戦略の強みや弱点を明確にし、必要に応じて戦略を調整することができます。

 

バックテストで勝てるEAを探す方法

勝てるEAを探すには、バックテストでそれぞれのEAを検証することが重要です。
期間や銘柄などを同じ条件で設定し、バックテスト結果を比較しましょう。

 

MT5のAdvisorsの欄には、デフォルトで無料のEAが搭載されているので、まずバックテストを取得する練習から始めてみましょう。

そのあと、各種EAでそれぞれ同じ条件でバックテストをおこないます。
最初に総損益や証拠金を比較して、各EAの期間収益やリスクを比較します。
取引の回数をチェックしておくことも重要です。
取引回数が多いEAほど、取引回数の少ないEAに比べてバックテストの信頼度が高いです。

また、EAには銘柄や時間足の指定があるものも多く、同じ条件では比較できないものもあります。 その際は、バックテストの期間を長くして、長期間での結果から収益・リスクなどをチェックしたうえで判断しましょう。

 

MT5バックテストを高速化する方法

バックテストは、EAの性質やテストする期間によって時間がかかるケースがあります。

MT5では、MT5を高速化するためにCPUマルチコア機能が提供されています。
マルチコアとは、一つのCPUに複数のコアが実装されていることです。
パソコンがたくさんの仕事を同時に処理できる機能で、全体の作業スピードが上がる仕組みを指します。

ストラテジーテスターの[エージェント]というタブをクリックすると、パソコン内での複数のCPUコアが表示されます。

 

Local部分が自身のCPUコアですが、こちらでは4つのCPUコアが1台のパソコンに搭載されていることがわかります。

 

ストラテジーテスターの銘柄で[すべての気配値表示銘柄]を選択、またオプティマイズで[気配値表示で選択されたすべての銘柄]を選択してスタートをクリックすればバックテストが開始されます。
マルチコア機能を使うことで、特定の銘柄を1つ1つバックテストしなくても、複数の通貨ペアで同時にバックテストができる仕組みです。

また、同じローカルネットワーク(同じ建物内・エリア内にあるネットワーク)を活かしたバックテストもできます。

 

[エージェント]タブを開き[Local Network Farm]を右クリックしたあと、追加をクリックします。

 

始点・終点にIPアドレスを入力し、適切なポートを選択したあと次へをクリックします。
すると、同じネットワーク内にあるCPUが表示されるので、Finishをクリックすれば完了です。
操作自体は1台のパソコンからおこないますが、同じローカルネットワークで稼働するパソコンのCPUも活用してバックテストを取得する仕組みです。
複数台パソコンを持っている方に最適なバックテスト高速化の方法です。

 

MT5バックテストに関するよくある質問

最後にMT5のバックテストに関するよくある質問を紹介します。

 

MT5のバックテストの結果を保存するには?

MT5のバックテストを保存するには、バックテストを実行したあと、テスト結果画面で右クリックをして[レポート]タブを選択します。

 

そのあと、保存先とファイル名を指定します。保存形式はHTMLやCSVなど複数あります。
保存をすることで、バックテストの結果や詳細をあとで確認したり、他のツールで分析したりすることが可能です。

 

MT5のフォワードテストとは?

過去のデータを使ってEAの性能をチェックするバックテストに対して、フォワードテストはリアルタイムでのEAの動作結果を確認する機能です。

MT5のフォワードテスト機能では、過去のデータを使ってテストする期間を二つに分けます。前半の期間では、システムを最適化(最も良い設定を見つけること)し、後半の期間では、その最適化されたシステムが、未来の相場でどれだけうまく機能するかを確認できます。

 

MT5でストラテジーテスターを開き、[概要]からフォワード最適化を選択すると利用可能です。

 

ストラテジーテスターの項目にあるフォワードテストでキャンセルを選択すると、通常のバックテストが実行されます。
1/2を選択すると、バックテスト期間の前半1/2で最適化がおこなわれ、後半1/2がフォワードテストに使用される仕組みです。
カスタムを選択すれば任意の日付が設定でき、指定した日付以降がフォワードテストに使用されます。
フォワードテストは、バックテストで見えなかった戦略の弱点や実用性を明らかにするために重要な機能です。

 

まとめ

バックテストは、将来の取引に向けてより効果的な戦略を開発するための重要な機能です。

MT5でEAを使いたいという方は、実際に稼働する前に必ずおこなっておく作業ともいえるでしょう。
ただし、バックテストは将来の利益を保証するものではありません。
バックテストの結果だけではなく、現在の相場状況と過去相場がどのように変化しているかも把握したうえで、最適なEA・インジケーターを選択することが重要です。