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【記事掲載のお知らせ】東工取での取引、月内に開始
配信:時事通信社
シンガポールに本拠を置く総合金融グループ「フィリップキャピタル」傘下で、5月に東京工業品取引所の受託取引参加者資格を取得したフィリップ証券の下山均社長はこのほど時事通信の取材に応じ、東工取での取引を今月中に開始する意向を示した。新たに商品先物を取り扱うことで、国内外の機関投資家を対象にしたサービスを充実するだけでなく、「東工取の流動性を高める一助になりたい」とも話している。主なやりとりは次の通り。
―日本の商品市場に参入する狙いは。
例えばシンガポールでは、株式や債券、各国インデックスの金融先物、金などの商品先物、株や先物に連動した投資信託(ETF)などが、シンガポール取引所(SGX)1カ所に上場されている。このため多くの投資家が、商品先物を含む多様な金融商品を投資対象としている。
当社は昨年、大阪証券取引所の先物取引等取引参加者となり、株式の先物・オプションを取り扱っている。次に商品先物を取り扱うことにしたのは、日本でも金融先物と商品先物の両方を取り扱う必要があると考えていたためで、グローバルな動きに沿ったものだ。
―対象とする顧客は。
海外や国内の機関投資家向けにネットでサービスを提供する。当面、国内で個人投資家を対象に営業する予定はない。仮に個人向けに始めるとすれば、ネット取引になるだろう。
―海外から日本の商品市場はどう見られているか。
注目度は高く、特に石油や金の市場に興味をもっている投資家が多い。日本人も日本の商品市場をもっと利用すればいい。ゴムについてはマレーシアなど海外市場に重きが置かれているようだが、当社としては東工取(の取引拡大)に貢献していきたい。
―東工取での取引開始時期は。
システムをつなぐ必要もあり、数週間以内にと考えている。6月中には開始できるだろう。
―新しい市場参加者を歓迎する声が聞かれる。
東工取に参入することで、情報を直接入手することが可能になり、例えば内外の顧客に、東工取と海外取引所との裁定取引のサービスを提供しやすくなる。このような話をすると、本来日本に入るべき注文が海外に流れると誤解する人がいるが、アービトラージなので、東工取にも海外にもオーダーが入り、全体として取引量が増える。そうした取引が活発化すれば、東工取の流動性を高める一助になると思う。
ただ、今のところ現物の受け渡しをする予定はない。有価証券の取り扱いには慣れているが、(商品の)現物と密接に絡んだ部分は知識もノウハウもなく、当社の得意分野ではないと考えている。
―商品先物業務が収益に与える影響は。
特に目標は定めていない。フィリップグループが提供するサービスが広がることや顧客の利便性が高まることが大きい。
日本の取引所の活性化に役立てばという気持ちも強い。取引が増えて流動性が高まり、それに着目する実需筋の取引も自然に膨らむという好循環の一助になればいいと考えている。